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    07月06日付

    ■「反米」発言――朝日や毎日のことですか

     参院選の投票日まで1週間を切った。各紙の情勢調査は、小泉首相が就任以来の苦境に立たされていることを示している。だから焦りもあるのだろう。首相が街頭演説で、自衛隊をイラク多国籍軍に参加させた手順に異を唱えたマスコミを「反米」だと決めつけた。

     「野党の皆さん、一部の反米のマスコミの皆さんは、自分に相談しないで勝手に決めたと批判している。批判する方がおかしい」「世界の首脳といる時に『国会、野党と相談します』、そんなことで総理大臣の役割が務まりますか」

     朝日新聞や毎日新聞の社説は、小泉首相が多国籍軍への参加を真っ先にブッシュ大統領に伝えたことや、国会抜きで閣議決定したことを批判した。それを「反米」と言うのなら聞き捨てならない。

     たとえ首相の言う通り、活動がこれまでと変わることはないとしても、多国籍軍への参加は、憲法や外交政策の根幹にかかわる大きな政策転換だ。国会に諮らずに決めて済む問題ではない。

     多国籍軍の指揮下には入らないからご安心を、という説明にも、はいそうですかと納得できない。だから、世論はいまなお参加に反対が多数派なのだ。

     それにしても、それがなぜ「反米」なのか。イラクで日本人が人質になった時に、自民党議員が国会で「反日的分子」という言葉を使ったが、一国の首相ともあろう人までが、とんでもなく乱暴なレッテル張りで国民の気を引こうとする。憂慮すべき風潮だ。

     朝日新聞はイラク戦争に反対し、自衛隊の派遣にも反対した。反米だからではない。ブッシュ政権の単独行動主義が世界や日本、また米国自身にもたらす悪い影響が心配でならないからである。

     多様で開放的な米国社会や、民主主義の懐の深さに私たちは深い敬意を抱いている。9・11事件で米国民が受けた衝撃と、テロに対する怒りにも共感する。日米安保条約は大切だとも考えている。だからこそ、国際協調をないがしろにして力に頼り、迷走してしまったブッシュ政権に異議を唱えざるを得ないのだ。

     首相には世界や米国のありのままの姿が見えているのだろうか。多国籍軍への参加国は増えていない。米国内ですら、過半数の人々がイラクへの派兵を誤りだったと考えているという世論調査の結果も最近公表された。小泉首相の物差しでは、それもこれもみな「反米」となるのだろうか。異なる意見には耳を貸さない首相の姿勢は、米国が世界に誇る伝統とは相いれないものだろう。

     米国との良い関係は大事である。だがそれを保つやり方はいろいろあってよい。米政権のご機嫌をとろうと無理を重ねれば、国民の間にかえって嫌米的な空気を育むことにもなりかねない。

     首相の「反米」発言は、投票にあたって目を凝らすべき争点をまた一つ浮き彫りにしてくれた。


    ■近鉄買収話――話ぐらい聞いたらどうか

     ファンや選手が買収を望むのに、当の球団は聞く耳を持たず、別の球団のオーナーが「終わった話」と切り捨てる。オリックス・ブルーウェーブとの合併に向かう大阪近鉄バファローズをめぐる動きは、インターネット関連のベンチャー企業が買収に名乗りを上げたことで新しいイニングに入ったが、同時にますますわかりにくくなった。

     企業が経営難に陥った場合、会社更生法の申請などのほか、合併先や売却先をさがすといった選択肢がある。経営者は従業員や取引先の事情も考え、一番良い方法を模索する。それが責任というものだ。「もう合併を決めたから」というのでは責任の放棄ではないか。

     「合併反対」の横断幕が掲げられたスタンドに近鉄の選手たちが手を振って応え、ベンチャー企業の若い経営者が観客からもみくちゃの歓迎を受けた。近鉄の経営者は大阪ドームのこの光景を見てもなお、一件落着と言うのだろうか。

     オリックスのオーナーである宮内義彦氏にも言いたい。あなたは規制改革の旗を振ってきた人である。産業の活性化のために新規参入が大事なことは誰よりもわかっているはずだ。もし買収を名乗り出た企業に「うさん臭い会社だ」という声が出たら、「どんなベンチャーも最初はうさん臭いものだ」と反論してこそ宮内さんではないか。

     たしかに、パ・リーグの歴史をみれば、チームを引き受けた企業が1、2年で投げ出すケースもあった。子どもたちにも人気のあるプロ野球は「金さえあれば買える」というわけにはいくまい。それならばなおさら、手を挙げてきたところの話をじっくり聞き、球団経営にふさわしいか調べればいい。企業経営の世界では、こんな門前払いをしたら、株主などから経営責任を問われかねない。

     どうも、今回は「はじめに1リーグありき」ではないかと疑いたくなる。パ・リーグには「巨人と一緒のリーグに入りたい」という気持ちがあり、それが巨人の渡辺恒雄オーナーの発言力を強めているようだ。

     ときにガラガラのスタンドを見ると、巨人や阪神がうらやましくなるのはわかる。だからといって、長年応援してきたファンやつらい気持ちで日々戦っている選手たちより「強者」にばかり顔を向けたら、合併をしても、1リーグになってもファンはついてこないだろう。

     渡辺氏の「口先介入」もプロ野球の将来を案じてのことだとは思う。しかし、2リーグ制を捨てることが本当にプラスなのか。プロ野球の将来を決める重要なことがらを、一部の人たちだけで「談合」のように決めていいものだろうか。

     7日には、この問題を討議するオーナー会議が開かれる。「合併」からスタートせずに、この「買収」提案にも耳を傾ける。いまからでも遅くないから、そんな方向を打ち出すべきだ。不透明なままで片づけたら、各球団ばかりか、その親会社の姿勢まで疑われかねない。



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