敗訴した原告側が喜色満面で「勝った。よっしゃあ」などと言った。一方、勝訴した国側は「わからない」と大いに不満顔だ◆靖国神社への首相の参拝を巡る裁判の話。福岡地裁判決は、主文で原告が訴えた慰謝料請求を退けたが、傍論(ついでながら述べた部分)で首相の参拝は違憲と判断した◆冒頭に書いた反応で、主文より傍論の方に比重のかかった裁判だったことがわかる。負けた側は満足だから、これ以上、控訴して争ったりはしない。勝った側は不満でも勝訴は勝訴。控訴したくてもできない◆この裁判は地裁段階で終わり上級審の判断は示されないことになる。地裁の判決は最高裁判決のような拘束力はない。同種の裁判はなお続く◆かつての最高裁判決(津地鎮祭訴訟)によると憲法が禁じた「国の宗教的活動」は「宗教とかかわりのあるすべての行為ではなく目的と効果が限度を超えるものに限られる」。が、これをモノサシにしても限度はあいまいだ◆日本人の宗教観は悪くいえばあいまい、よくいえば寛容。で、違憲判断がすとんとは胸に落ちない。
(2004/4/8/14:22 読売新聞 無断転載禁止)