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2004年04月14日
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社説

社説:
靖国参拝違憲判決 首相は真摯に受け止めよ

 小泉純一郎首相が毎年続けている靖国神社参拝に対し、福岡地裁は7日、「憲法で禁止されている宗教的活動に当たる」とする違憲判決を下した。

 01年の自民党総裁選で、小泉首相は終戦記念日(8月15日)の靖国参拝を公約に掲げた。中国などに配慮し終戦記念日は見送ってきたが、毎年参拝は続けている。

 それだけに、今回の判決に対しても、小泉首相は強く反発。伊勢神宮に対する正月の閣僚を伴っての首相参拝を引き合いに「靖国だけ問題にされるのか」と反論、今後も参拝を続けると明言した。

 これはおかしい。司法から違憲と判定された行為を続行することは、公務員の憲法尊重擁護の義務を定めた憲法99条にも反する。旧来方式での参拝を続けるなら、小泉首相は二重の意味で違憲な行為を重ねることになる。

 今回の判決は、首相が参拝の際に公用車を使い、秘書官を随行させ、「内閣総理大臣小泉純一郎」と記帳し、同様に記名した献花を行い、参拝後に内閣総理大臣である小泉純一郎が参拝した旨を発言した……と指摘。これらの行為は外形から、首相としての職務執行に当たる、と認定。政教分離を定めた憲法20条に反すると断じた。

 一国のトップの行為が違憲とされたことは一大事だ。

 靖国参拝は、歴代首相の多くが行ってきたが、時の政府自身も憲法に抵触する危険を十分に認識していた。戦後初めて終戦記念日に参拝した三木武夫首相(当時)は、(1)玉ぐし料は私費負担(2)私有車を使う(3)記帳には肩書をつけない(4)公職者を随行させない−−との4原則を設けて、「私人」とした。中曽根康弘首相(同)は終戦記念日での公式参拝に踏み切ったが、中国の反発を理由に、その後は中止した。

 政教分離を憲法で規定している国は少なくない。わが国の場合、二度と国家と神道を結びつけないことを国内外に約束するものとして盛り込まれた経緯を忘れてはなるまい。

 靖国神社は東京招魂社を前身とし、国家や戦争と直結してきた特別な神社だ。江戸期から「お伊勢参り」として広く庶民に親しまれた伊勢神宮参拝を、小泉首相のように同列に論じることには異論の余地があるのではないか。

 小泉首相の靖国参拝は、中国、韓国が強く批判していた。特に中国は、先の大戦での戦争責任を問われたA級戦犯が合祀(ごうし)されていることを問題視。日中両国首脳による相互訪問は停止している。

 福田康夫官房長官の下での「追悼・平和祈念施設の在り方を考える懇談会」がまとめた「国立の無宗教の恒久的施設が必要」との報告書も、宙に浮いている。小泉首相が「靖国に代わる施設じゃないから」と発言したことで骨抜きになったからだ。

 小泉首相の靖国参拝には政治的、外交的にも多くの問題点が指摘されてきた。今回の判決で違憲と断定され、新たな問題点が加えられた。小泉首相は判決を真摯(しんし)に、かつ重く受け止めるべきだ。

毎日新聞 2004年4月8日 東京朝刊
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